2012年7月29日日曜日

「浮世絵の至宝 ボストン美術館秘蔵 スポルディング・コレクション名作選」、Spaulding Collection, Museum of Fine Arts, Boston

遅ればせながら、「浮世絵の至宝 ボストン美術館秘蔵 スポルディング・コレクション名作選」(小学館、2009年)を購入した。スポルディング・コレクション (Spaulding Collection, Museum of Fine Arts, Boston) については、NHKの番組で知っていたが、この本の所在はうっかりして知らなかった。予想通りすばらしい本だった。6章にわたる作品群だけではなく、作品解説と、3つの重要な論考、資料が付いている。これで12,000円、決して高くない。
このコレクションは、アメリカの大富豪スポルディング兄弟が、「作品の質を最優先して金額には糸目をつけない」という方針で明治末~大正時代に蒐集した浮世絵・約6500点からなっている。それらは褪色や紙質の劣化などを避けるため、美術館内での展示すら禁止されていた。
スポルディング・コレクション の作品群で最も有名な作品の1つは、右図の喜多川歌麿「娘日時計」午の刻である。
右側の女性が羽織った薄衣から白い肌が透けて見えている。ところが、すでに所蔵・公開されている作品の多くは、版画の色が褪せて、その状態がよくわからない。例えば、東京国立博物館 東京国立博物館情報アーカイブの作品もそうである。これだけでも、歌麿の作品と、スポルディング・コレクションの保存のすばらしさがわかる。
NHKの番組で、その説明を聞いてはいたが、現物で見て改めてその鮮明さがよくわかった。

もう1枚、この著作の編集者小林忠氏が絶賛している作品の1つを紹介しておこう。左の図の鈴木春信の作品「雪中相合傘」である。小林氏は、「降りしきる雪を吹き墨の手法によって鉛白の白をまいており(現在は黒変しているが)、ほかと異なってユニークな作例である。」(179ページ)と書かれている。

スポルディング・コレクション には、これ以外にも、多くのすばらしい作品群が、極上の保存状態で残されているが、今回デジタル化されて、多くの人が鑑賞できるようになるという。
まずは、この本で十分に味わい、デジタル化されたすべての作品が登場するのを心待ちにしたい。

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以上をブログに記載した後、以下のような作品とそれを紹介するサイトを見つけた。掲載されている歌麿作品は少ないが、一段とすばらしいセレクションである。「歌麿 ベストセレクション1-ボストン美術館蔵 スポルディングコレクション」。(2012.8.16)

なお、喜多川歌麿のもうひとつの作品については、私のブログのもうひとつのページ:世界で最も美しい画本:喜多川歌麿、Kitagawa Utamaroをご参照ください。

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