2017年6月19日月曜日

奈良の円成寺、Enjyouji in Nara

奈良駅からバスで約30分、柳生への途中にある円成寺(本ブログタイトルの英語表記はweb addressから採った)を初めて訪れた。
一部の旅行案内にはあるが、交通の便があまり良くないにも関わらず、かなりの人が訪れている。柳生への行き帰りに立ち寄っている人が多いのだろうか。
ちょうど青紅葉の季節でもあり、まず入口の美しさに期待が膨らんだ。

門をくぐってすぐに、広大な庭園に驚く。手入れも隅々までとても行き届いていて、期待通りの美しい庭園だった。
「平安時代末期に寛遍上人のころに造成されたと見られています。平安から鎌倉時代にかけて貴族住宅に流行した寝殿造系庭園に類似し、寺院としては阿弥陀堂の前面に広がる浄土式庭園として、奥州平泉(岩手県)の毛越寺庭園とともに貴重な遺構です。」(円成寺HPから)

本堂に入るとこれまで見たことも無いような極彩色の柱に囲まれた内陣がある。下に見るように、今でもその色は確認できる。

やはりHPによれば、「本堂内陣母屋四本柱には、本尊阿弥陀如来に従うように観音菩薩、勢至菩薩をはじめ、様々な楽器を演奏し舞い踊る諸菩薩が極彩色で描かれています。」
(円成寺のパンフレットは白黒なので、左の写真は『関西の寺あそび』(京阪神エルマガジン社、2017年、p.94-5)を利用した。)

柱絵の主な部分を拡大したのが、次の画像である。このようにあでやかな衣装から独特な楽器に至るまでの絵が四本の柱いっぱいに豪華に描かれている。
本尊や柱絵の諸菩薩、さらには本尊を守っている四天王像のすべてが原色のままであったなら、さぞかしまばゆいばかりの極楽浄土を再現することができただろう。
(画像は、円成寺パンフレットから)


以上は本堂であるが、左の写真は、平成に入って再建された多宝塔の本尊である大日如来坐像である。

運慶の20代歳代の作品とみなされている。像は穏やかながら若々しい表情で描かれているように思われる。
寺のパンフレットによれば、「唯一の自筆の墨書銘をもっ最初期作として、日本彫刻史上画期的な意義をもっ尊像である。」
多宝塔は風雨を避けるため入口がガラスになっているが、寺が準備した眼鏡でガラス越しではあるが像をはっきりと見ることができる。
(画像は、円成寺パンフレットから)

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