2014年10月19日日曜日

Collaboration between Japanese and Korean Companies in the Inter-war Period、戦間期の日朝企業間のCollaboration

Collaboration between Japanese and Korean Companies in the Inter-war Period(戦間期の日朝企業間のCollaboration)を作成した。本ブログへの掲載が遅れてしまったが、以前の新しい論文:Japanese Companies and Investment in China during the Second Half of the Inter-war Period(戦間期後半の対中投資)とともにぜひともご参照いただきたい。
2つの論文は、私のHPからダウンロードできる、日本語版英語版

いわゆる従軍慰安婦について、朝日新聞の報道がでたらめな情報に依拠していたことが、ようやく明らかになった。これを契機に、朝鮮史全体の再検討も始まることになるだろう。従軍慰安婦報道の訂正は、朝鮮史研究の一つの出発点に過ぎない。

私の上記の論文は、日本の朝鮮統治期における日本の海外投資、日本企業の活動と、日本企業と朝鮮企業とのCollaborationを明らかにした。
目次は以下の通りである。
1 戦間期朝鮮の代表的な企業、
2 朝鮮人系企業の発展と朝鮮人企業家の活躍、
3 京城紡織、

朝鮮で活躍した日本企業は、他の地域の日本企業と同様に、1) 株式は広く分散して所有され、主に市場から資金を調達する、2) 企業は株主に活動の成果を還元する、3) 企業の情報は積極的に公開する、市場中心型コーポレート・ガバナンスを持つ企業であった。
朝鮮窒素肥料 興南工場、Wikipedia
最も代表的な企業は、日本窒素肥料とその子会社朝鮮窒素肥料である。日本窒素肥料は1908年に野口遵によって設立された。同社は、1923年に世界で初めてカザレー式合成アンモニアの製造を開始した。1927年には朝鮮窒素肥料が設立され、世界最大規模の化学コンビナート興南工場が設立された。
建設中の水豊ダム、Wikipedia


その傘下にある朝鮮鴨緑江水力発電と満州鴨緑江水力発電は、1937年に鴨緑江下流の平安北道新義州府の日満国境で、水豊(スプン、Supung)発電所の建設に着手し、1944年3月に竣工した。水豊発電所は出力10万kWの発電機を七つ持つ世界最大級の発電所であった。朝鮮に進出した日本企業は、朝鮮経済の発展と近代化に大きく貢献した。

多くの朝鮮人が日本企業の経営に参加していた。金秊洙、朴興植、韓相龍、閔奎植、閔大植、方義錫、玄俊鎬などの朝鮮人企業家が有名である。朝鮮人は株主としても重要な役割を担っていた。当然のことながら、朝鮮人が経営に参加する企業も、市場中心型コーポレート・ガバナンスを持っていた。朝鮮人経営者が中心の、朝鮮を代表する企業である京城紡織も同様であった。

本論文で取り上げた代表的な朝鮮人系企業には、一部の韓国人研究者が主張するような、民族資本買弁資本は存在しなかった。朝鮮人が活躍の場を広げ、その結果経済発展をめざそうとすれば、日本企業とのCollaborationAllianceを進めようとするのは当然の結果であった。戦間期の朝鮮人系企業の歩みは、後進国企業がめざす、最も一般的な歩みのひとつであった。

朝鮮人企業家の活動に注目したエッカートの優れた研究は、今でも朝鮮研究の出発点あるいは土台となっている。ただし、エッカートやエッカートを翻訳した朱益鍾は、両社に共通する市場中心型コーポレート・ガバナンスについては、残念ながら十分に検討していない。同時に、エッカートや朱益鍾が朝鮮殖産銀行を含む銀行の役割を過大に評価し過ぎている。さらに朱益鍾は、京城紡織の財務情報を検討しているが、それを日本企業と比較していないため、その最も重要な共通点についての評価が不十分であるように思われる。

戦間期朝鮮人企業の本格的な研究はますます広がりを見せるだろう。その結果、日本の投資、日本企業の活動の朝鮮経済の発展への貢献、日本企業と朝鮮とのCollaborationやAllianceが具体的に明らかになるだろう。

関連する私のブログ
エッカート『日本帝国の申し子』、Carter J. Eckert, Offspring of Empire
イザベラ・バード『朝鮮紀行』を読む (1)、Isabella Bird Bishop, Korea And Her Neighbours
イザベラ・バード『朝鮮紀行』を読む (2)、Isabella Bird Bishop, Korea And Her Neighbours

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2014年10月13日月曜日

日米の電子書籍、私の著書による比較

私の日本語版著書『日米コーポレート・ガバナンスの歴史的展開』(2006)の電子書籍が、ようやく紀伊國屋と丸善から刊行されたので、私の英語版著書 (電子書籍を含む) Japanese Companies in East Asia: History and Prospects (2012)Historical Development of Japanese Companies: Corporate Governance and Foreign Investment: Expanded and Revised Second Edition (2009)と比較して、日米の電子書籍の現状についてまとめておきたい。比較は、私の著作の範囲内で行われているので、日米の電子書籍のすべての比較を行っているわけではないことをあらかじめお断りしておきたい。
私の最初の英語版電子書籍が刊行されたのが、2008年である。今年は2014年なので、すでに日米間には6年という大きな格差があることがわかる。

まず、データの形式であるが、アメリカの代表的な電子書籍であるAmazonのKindleでは、独自の形式が採用されているが、端末の表示画面の大きさに合わせて、文字の大きさや行間などを自由に変更できるリフロー型である。これに対して、日本の電子書籍は、あらゆる端末において、元のレイアウトが維持される非リフロー(固定レイアウト型)である。電子書籍は、様々な端末(PC、スマートフォンなど)で読むことを前提にすれば、リフロー型が良い。

次に、検索機能であるが、Kindleはテキスト・データも同時に持っているので、検索は100%可能である。一方、日本の電子書籍は、印刷版から作成されているので、完全なテキスト・データを持っているかどうかは明らかではない。出版社はどの程度可能かは明らかにしていないが、その程度によっては、電子書籍としての意義は損なわれる場合もあり得る。

それ以外については、日本の電子書籍では、丸善版が図書館を通じてしか利用できない。学術図書を中心とした電子化なので、こうした対応になったのかもしれないが不十分と言わざるをえない。また、日本の電子書籍の場合は、個人の出版が可能になるような環境が構築されてない。

このような格差にもかかわらず、ようやく日本で電子書籍が活発に出版されるようになったことを大いに歓迎したい。特に、大学でのテキストをはじめとする活用に期待したい。しかし、アメリカと日本の電子書籍の格差は非常に大きい。日本の出版社、書店、今後登場するだろうベンチャー企業などはいうまでもなく、チャレンジする著者に、この格差を解消するよう大いに期待したい。

なお、これ以外の機能比較については、おって検討していきたい。















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