2013年6月2日日曜日

2012年度 社会経済史学会 全国大会での討論について

2012年度 第81回 社会経済史学会 全国大会が東京大学で開かれ、私は第7会場で「戦間期日中の貿易・投資・国際収支」と題する報告を行った。
討論の時間に久保亨氏のコメントの1つに、「報告が先行研究を踏まえていないのではないか」との指摘があった。私は、分科会終了後、久保氏に特に以下の点について直接詳しく説明し、おおむね理解していただいたと思う。しかし、他の参加者には、その内容がわかっていただけてはいないので、本ブログで簡単に説明したい。

1)日中間の貿易について:本報告の基礎となっていて、PowerPointの最後のスライドに掲げている私の著書の第2章の結論部分を参照していただきたい。
2)日本の対中直接投資について:戦前の直接投資については、山本有造氏の多くの研究が有名である。氏の研究は対植民地が中心で対中投資については少ない。北支那開発や中支那振興とその子会社の研究は、柴田善雅氏や高橋泰隆氏のものが包括的であるが、私の研究はその成果を基にしている。
3)日本企業のコーポレート・ガバナンスについて:個別の財閥と企業の研究を除いて、戦前日本のコーポレート・ガバナンスが市場中心型であるとの研究は、星岳雄氏の研究を除いて少ない。私は、2006年に刊行された著作とそのなるもととなる論文以降、その主張を続けてきた。
4)戦間期日中企業間の競争について:戦間期日中企業間の競争については、上記コーポレート・ガバナンスからのアプローチも必要である。私の研究は、上記著書の第1章にある。この観点での日中企業の比較研究は少ない。この課題は、両国の経済と金融システムを比較する上で欠かせない課題である。
5)Collaborationについて:今のところ日米の研究は政治学が中心である。その意味で、直接投資の研究とCollaborationとの関連を明確にすることは非常に重要であると思う。

与えられた30分程度の報告時間内で、自分自身の研究の説明ととともに、以上の内容を詳しく説明することは非常に難しい。討論に参加される方々には、事前に提出されたレジュメと、報告のもとになっている論文を含む参考文献を、あらかじめ参照していただくことを希望したい。また、それが容易になるようなルールとシステムを確立されることもあわせて希望したい。そのためのひとつの方法として、学会HPに大会HPを作成し、詳細なデータを掲載できるようにすることが必要だろうと思われる。

私は、上記の英語著作ともうひとつの英語著作を通じて、戦間期中国における市場経済の発展と日本と日本企業の貢献を明らかにし、その経験が今後の中国でどのように生かされ、また日本と日本企業のがどのように貢献できるかを当面の研究課題としていることを、最後に補足しておきたい。
なお、私のホームページとブログは以下の通りである。あわせてご参照いただければ幸いである。

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