2013年2月21日木曜日

特別展『ボストン美術館 日本美術の至宝』が、ようやく大阪にやってくる, Japanese Masterpieces from the Museum of Fine Arts, Boston

特別展『ボストン美術館 日本美術の至宝』が、4月2日に大阪にやってくる。今は九州国立博物館で行われている。非常に多数の作品を含む展覧会だが、私は、曾我蕭白の作品が見られるのを楽しみにしている。
江戸時代と言えば浮世絵、そして最近では伊藤若冲が特に人気である。私もその一部について注目してきた。
ところが、曾我蕭白は、それらとはまた別の独自の絵画世界を切り開いた。
左の図は、雲龍図で、長年、日本美術の収集で有名なボストン美術館で修復作業が続けられてきたが、今回世界初公開となる。「龍は神獣・霊獣であり、麒麟・鳳凰・霊亀とともに四霊のひとつとして扱われる」と言われる。しかし、蕭白の龍はそのような威厳はなく、とても人間的な表情をしている。画面一杯に広がった龍の顔は、何とも言えない愛嬌とひょうきんさがあり、我々のある感情を表しているように見える。
画は墨絵であるが、独特な深い黒をはじめさまざまな素材からなる黒色が使われていて、その漆黒さが今なお褪せておらず輝いている。

一方で、蕭白の画には、極彩色の画がある。そのひとつが右の雪山童子図(『もっと知りたい曽我蕭白』, p.59)である。雲龍図の黒のように、青・赤が鮮烈である。女性にしか見えない釈迦、外観は恐ろしいが腰を抜かした弱々しい青鬼。何とも奇妙な世界が見える。

江戸時代は、実に多様な芸術家が、自由に創造力を開花させた時代である。このような芸術家達が、後生の近代社会では、技術家として育っていったのかもしれない。
江戸時代は、暗黒の停滞した時代と捉えたマルクス歴史学の説明とは全く異なった世界だった。そして、そのような時代があったから、明治時代に近代化が一気に進むことができたのだろう。

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2013年2月6日水曜日

手のひらに美術館を:Kindleはすごい!

ハードウェアとしてのKindleがすごいと何度も書いた。そのおかげで、私自身のKindle版著作も大きく改善した。ところで、Amazon.comでは、美術作品が安価なKindle版になって、次々と発売されている。いくつかを紹介しておきたい。

まず、Works of Leonardo da Vinci (Masters of Art) [Kindle Edition]である。わずか8.4MのデータにLeonardo da Vinciの主な作品とその解説が載っている。価格は2.62ドル。もちろん、画像データはそれほど鮮明ではないので、タップして大きくすると、荒くなってしまう。それでもこの価格で、この内容、本当にKindleはすごい。なお、このKindle本には、目次も付いていてとても使いやすい。このKindle版は、Delphi Classicsのシリーズで、他の画家の作品もある。
もうひとつ、767 Color Paintings of Rembrandt van Rijn - Dutch Painter and Etcher (July 15, 1606 - October 4, 1669) [Kindle Edition]を紹介したい。タイトルの通り767の画像があり、データサイズは32.0Mと大きいので、画像はやや見やすいような気がする。それでも、価格は3.4ドルと安い。最大の難点は目次がなく、767の作品のそれぞれがどこにあるかわかりにくいことである。Jacek Michalakが著者であるが、同じ著者の他の画家の作品も多数ある。

これらを買うと、重い美術書を持たないで、いつどこでも世界の優れた作品が楽しめる。バッハやベートーベンがいつどこでも聴けるのと同じことが実現しつつある。おそらく今後多くの電子書籍出版社からより鮮明な画像のKindle版が出てくるだろう。
こうして、美術品への関心が高まれば、おそらくさらに格段に画質が良い、高価な印刷版も多く出版されるようになるだろう。相乗効果に期待したい。

最後にまた一言。
このようにヨーロッパの絵画の電子書籍が急増しているのに、日本の優れた美術遺産の電子出版はとても遅れている。浮世絵や伊藤若冲など今人気の作品群をどんどん意欲的に出版して欲しい。有能な企業家が登場し、またそれを支援するファンドができて、世界に発信すると言うようなことはできないだろうか。

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2013年2月5日火曜日

ようやく新英著のKindle版が完成

昨年11月3日に刊行した、Japanese Companies in East Asia: History and ProspectsのKindle版がようやく完成した。
今回作成に当たって、目次の詳細な記述と該当箇所(各章節)へのリンク、図表一覧の該当図表へのリンク、本文中の脚注の該当脚注へのリンクなどを行ったので、非常に使いやすくなった。Amazon.comで販売されているKindle版の本では、そこまで実現しているのが未だ多くはないので、今のところはかなり使いやすい方に属すると思う。
Kindle版の本は、本文が自由自在に拡大・縮小できるので、さまざまな機器に対応でき、とても使いやすい。そして、上記のKindle版の新たな特徴として、私の著作が多用している図表が非常に見やすくなったと言うことも挙げておきたい。各図表をタップすると、自在に拡大できる。
さらに、これは以前と同じだが、本文はかなりなめらかな自動音声で読み上げてくれる。この機能は、Kindleのハードウェア以外では使えないが、Kindleのハードウェアを使えば、英語の勉強など新たな使い方ができる。
なお、データ・サイズはなんとわずか3.6M、送信したデータは表紙を含めると8.0Mだったので、Amazon.com側で半分以下に圧縮してくれている。

なお、以上については、私の前著Historical Development of Japanese Companies: Corporate Governance and Foreign Investment: Expanded and Revised Second EditionのKindle版(改訂版)においても、すでに実現している。
以前のこのBlogでも述べたように、日本語版のKindleの性能は非常に向上している。このおかげで、以上のような優れた機能がストレス無く使いこなせるようになった。

ところで、最後に一言。
私は以前からKindleを愛用しているが、Webの検索(Chrome)やgmail、You Tube, Map, Driveなどを使っているGoogleのNexus 7も昨年購入した。Nexus 7はKindleとともに基本性能が高く、非常に使いやすい。ただ、私のような仕事をしていると、どうしてもKindleが中心になってしまう。
このようにタブレットが進化してくると、私にとってスマートフォンを使う理由が無くなってしまった。
いつもネットに接続し、映像やテレビを見る人に合わせて高い通信料を、すべての顧客に要求する通信会社の料金体系は受け入れがたい。早くデータ通信も従量制を基本にした料金体系にして欲しい。Wifi接続だけのスマートフォンが登場すれば、重いKindleやNexusを持ち歩きたくない場合には利用するようになるだろう。

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